膀胱がんの治療法
膀胱がんは進行度によって治療法が異なってきます。
治療法の種類は以下のようなものがあります。
・上皮内がん:BCG膀胱内注入療法
上皮内がんの場合は内視鏡で観察し、がんを確認した場所に経尿道的膀胱腫瘍切除術を行ってから、BCG膀胱内注入療法を行う必要があります。
・表在がん:経尿道的膀胱腫瘍切除術
表在がんの場合は、内視鏡による切除が可能。
・浸潤がん:膀胱全摘出術(放射線療法)
浸潤がんの場合は膀胱全摘出術を行う必要がありますが、身体的な問題で手術が行えない場合は、放射線療法を行います。
・転移がん:抗がん剤治療(放射線療法)
BCG膀胱内注入療法
BCGは結核の予防ワクチンとして利用されていますが、膀胱がんの治療や再発予防にも使われています。
BCGを膀胱内に注入すると粘膜に貼り付いているがん細胞が剥がれ落ち、約6割〜7割の患者さんに効果のある治療法です。
膀胱がんの再発率は50パーセントもありますが、BCGを注入することで再発予防になります。
通常は週1回注入するのを6〜8回続けます。
ただし、排尿痛、頻尿、尿路感染、発熱などの副作用が出た場合は、治療期間が延長されます。
副作用を予防するために、抗生物質を併用する場合もあります。
また、BCGの代わりに抗がん剤を膀胱内に注入する「抗がん剤膀胱内注入療法」という再発防止法もあります。
副作用は少ないのですが、効果は劣るため、上皮内がんの治療にはあまり使われていません(表在がんの治療には使われています)。
経尿道的膀胱腫瘍切除術
経尿道的膀胱腫瘍切除術は、表在がんの治療で主に行われている手術法です。
腰椎麻酔を行い、先端にリング状の電気メスが付いた内視鏡を用いて、がん細胞を切除します。
手術時間は比較的短時間であり、数十分〜1時間程度で終わります。
手術後には血尿を排泄させるために、経尿道的バルーンカテーテルを約1週間ほど入れておく必要があります。
膀胱全摘出術
膀胱全摘出術は、転移のない浸潤がんの治療に行われている手術法です。
男性の場合は、膀胱以外に前立腺、精嚢も摘出する必要があります。
がんが膀胱の出口にも存在する場合は、尿道の摘出も行います。
女性の場合は、膀胱、尿道、膀胱側の膣壁を摘出します。
がんの浸潤によっては、子宮や卵巣を摘出する必要も出てきます。
また、膀胱を摘出するため、尿路変更手術も同時に行われます。
手術は全身麻酔をかけて行い、時間にして約4〜6時間かかる大きな手術です。
放射線療法
放射線療法は、転移のない浸潤がんの治療に行われている方法です。
年齢や体の状態、合併症などの危険性がある場合、手術の代わりに行われます。
抗がん剤を併用することにより手術とほぼ同じ治療効果が得られるため、膀胱全摘出を行いたくない場合に選択することもできます。
ただし、再発率は手術よりも高くなってしまう、という弊害が起きてしまいます。
転移がんの治療
膀胱がんが他のリンパ節、肺、腎臓などに転移している場合は、抗がん剤の点滴治療が行われます。
一般的に点滴には4種類の抗がん剤が使われ、それを組み合わせて治療を行います。
点滴を行わない日には、白血球や血小板が減少するため、感染予防を行う必要もあります。
白血球の減少が激しい場合は、白血球を増やすための薬を注射します。
また、血小板の減少が激しい場合は、輸血も行われます。